教皇権を「本質的には中世ヨーロッパで生まれた」ものと喝破、西欧中世の実社会の動向の中にその興隆と衰退の実態を見定め、「ヴァティカン以前」の教皇と教皇庁の本質を物語性豊かに描き出す。古代から現代まで連綿と続く教皇・教皇庁の歴史を語る上で欠かせぬ名著、訳註や巻末の文献案内・教皇一覧を増補した待望の新版。図版多数。
……本書の意義について繰り返すことはしないが、今回読み直してみて、人物研究の難しさと面白さにあらためて気づかされたので、少しばかり感慨を述べてみたい。……彼の人物評は、一方で中世史や教皇史に関する専門家としての該博な知識に、他方で卓越した文明史観に、しっかりと支えられている……。学術的な欲求を満たしてくれつつ、かつ通して読んで面白い、このような中世教皇史の本は他にそうあるまい。/旧版のあとがきでは、個々の教皇の事績の単なる寄せ集めとは異なる「教皇権」を描きだす本書の特長を指摘したが、バラクロウは個々の教皇たちの果たした意義についても豊かに語っているのだということを、今回のあとがきでは強調しておきたい。(改訂増補版へのあとがき)
著者:ジェフリ・バラクラフ
訳者:藤崎衛
判型:A5判 上製
ページ数:384ページ
ISBN:978-4-89694-282-8
発行:八坂書房
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