古代〜近世に発展し受容された思想を「信仰と知」で構築し直し、哲学的営為を描き出す。
●目次
第I部 教父思想
一 護教論者における信仰と知の問題(出村みや子)
序論 古代キリスト教における護教論の展開
1 真の哲学としてのキリスト教―殉教者ユスティノス
2 「愚かであるが故にこそ信じられねばならない」―テルトゥリアヌス
3 哲学の女主人としての知恵―アレクサンドリアのクレメンス
結論
二 カッパドキア教父における信仰と知の問題(土橋茂樹)
1 キリスト教信仰とギリシア哲学の関係をめぐる問題
2 バシレイオスにおける「ウーシア」論の展開
3 ニュッサのグレゴリオスにおける「デュナミス」論の展開
結びに代えて
三 アウグスティヌスにおける信仰と知―フィロソフィアの原義に立ち返って(出村和彦)
1 問題の所在
2 信仰と知解
3 フィロソフィアのはじめとしての信仰のあり方
4 宣教者アウグスティヌスにおける信仰と知解
5 「信仰の法則」と知解
結び
四 神への関与のアナロギア―擬ディオニュシオスから証聖者マクシモスへ(谷 隆一郎)
1 問題の提示
2 善の分有・希求のアナロギア
3 超越的な善と,「浄化,照明,脱自」の道
4 善への関与における意志的アナロギア
5 神人的エネルゲイアの現存
6 意志的聴従ないし信のアナロギア
7 結語に代えて
第II部 初期スコラ学と修道院神学
一 エリウゲナにおける信仰と知(今 義博)
1 二つの書物
2 聖書論
3 信仰の第一位性
4 理性の第一位性
5 神の知と無知
6 神の自己意識
7 神についての人間の知識と知恵
8 知識から知恵へ
9 アナロギアと自由学芸
10 魂の自己知と自己無知
11 脱自と還没
二 カンタベリーのアンセルムスにおける信仰と理性(矢内義顕)
はじめに
1 信仰(fides)
2 理性(ratio)
3 理性の限界
4 理性的な対話への開き
結語
三 ペトルス・アベラルドゥスにおける理性と信仰 (K. リーゼンフーバー)
1 問題設定
2 理性の偉大さと限界
3 理性的・人格的行為の理論としての倫理学
4 イエスとの結びつきにおける愛の成立と完成
四 クレルヴォーのベルナルドゥスにおける愛の霊性(桑原直己)
1 はじめに
2 『神を愛することについて』における霊性段階説
3 『雅歌説教』における霊性の発展段階説
4 『雅歌説教』第八三説教から第八五説教における愛の理論
5 『雅歌説教』第二三説教―ベルナルドゥスにおける霊的体験論の要約
6 「味わい」(sapor)と「知恵」(sapientia)
7 結語
五 サン・ヴィクトール学派における信仰と知(中村秀樹)
1 知としての信仰
2 聖書による知
3 観想による知
4 愛の知
5 結語
第III部 盛期スコラ学
一 グローステストにおける「信」と「知」―二冊の書物〜自然と聖書(樋笠勝士)
序 学問と宗教
1 神学(theologia)の「網」と学問(scientia)の「網」―Dictum 118
2 身体の「関節」(articulus)としての「信」―Dictum 129
3 credibilia, scibilia, imaginabilia―『ヘクサエメロン』
結語 「光の形而上学」と「信と知」
二 信仰の知的性格について―トマス・アクィナスの創造論を手がかりに(山本芳久)
序 問題意識
1 トマス創造論の基本構図
2 「実在的な関係」と「概念的な関係」との「区別」
3 世界の永遠性と創始性―トマス創造論におけるアリストテレスの位置づけ
4 信仰の知的性格の意味するもの
結論 「区別者」としての神と人間
三 アヴェロエス主義と知性単一論の問題(山内志朗)
1 問題としてのアヴェロエス主義
2 中世における知性論の枠組み
3 知性論の系譜
4 能動知性離在論の立場
5 能動知性内在論の立場
6 その他の能動知性論
7 アヴェロエス説再考
第IV部 後期スコラ学から中世末期の思想
一 マイスター・エックハルトの本質的始原論(田島照久)
1 聖書義解の方法
2 信仰と直視
3 本質的始原論
4 類比的なものと同名同義的なもの
5 「義と義なる者」と反復語法
6 範型論
7 譬えことば
二 ドゥンス・スコトゥスの信仰理解と神学の位置づけ(小川量子)
序
1 ハビトゥスとしての信仰の理解
2 信仰と学知の両立不可能性
結
三 オッカムにおける神学と哲学(稲垣良典)
1 問題
2 形而上学の消去
3 神学と学知
4 おわりに
四 クザーヌスにおける信仰と知―
1 問題提起
2 上昇の道行き
3 絶対的無限性としての神
4 三位一体論からキリスト論へ
5 結語
編者:上智大学中世思想研究所
判型:A5判上製
ページ数:482ページ
ISBN:978-4-86285-151-2
発行:知泉書館
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