12歳のとき、神さまにささげる一生がある、と知ったテレサは、修道院に入りインドに行きました。それから80年あまり、1997年に亡くなるまで、世界中の貧しい人からマザー(お母さん)と呼ばれ、亡くなってからも慕われ続けています。
著者のことば
ぼくは、マザー・テレサの話をはじめると、ひと晩でもおしゃべりを続ける悪いクセがあります。それほど、マザー・テレサというかたがすばらしく、魅力あるかただといえると思います。
この本の原稿を編集部に渡したすぐあとに、またインドへ行く仕事ができたのです。そして、マザー・テレサが5月は3日だけカルカッタにいっらっしゃると聞いて、ぼくはしめたと思いました。というのは、直接マザー・テレサにお会いして確かめたいことがあったからです。マザー・テレサが幼かったころのお話をもう少し詳しく聞きたかったのです。
マザー・テレサは、なつかしいしわだらけお顔でにこにこ笑いながら、こう答えたのです。
「わたしの子どものころのことは、ひとつのことをのぞいて、そんなにたいせつなことはありません。それより、あなたとの限られた時間に、もっと話すべきたいせつなことがあるでしょう。」
子どものころのマザー・テレサにとって、ひとつだけ大切なことは、12歳のとき、神さまのために生きようと思いたったことでした。
そして今、限られた時間にふたりが話すべきことというのは、貧しい人々のことだったのです。
「わたしたちはもっともっと貧しい人びとのことを考え、話しあうべきです。」
これが、マザーのことばでした。
小学校中級以上向けです。
著者: 千葉茂樹
絵: 依光隆
判型: A5判上製
ページ: 196
ISBN: 4-7896-0007-6
発行: 女子パウロ会