文化の現実の中から福音を理解し実践しようとする傾向は、なにも日本だけではなく、世界的傾向です。そしてそれは、対話というもう一つの鍵言葉でまとめることができます。事実カトリック教会は第二ヴァティカン公会議で、現代世界と積極的に対話することを宣言しました。インカルチュレーションの新しい観点も現代世界との対話の延長線上にあります。福音と文化の出会いもまた一種の対話だからです。
本書は、2002年夏に開催された上智大学神学講習会での講演をもとに、改めて原稿を書き下ろしていただいた論文集です。
●主な目次
第一部 福音のインカルチュレーションと現代
インカルチュレーションとは何か―その過去と現在(岩島忠彦)
妖怪の棲む教会―NICE以降の教会とその将来(中川明)
日本における福音宣教とインカルチュレーションの課題―キリスト教の自己理解と宗教の多元性をめぐって(増田祐志)
第二部 日本文化と福音の出会い
回心体験がもたらす地平―パウロの宣教と親鸞の強化活動(高山貞美)
近現代日本とキリスト教との出会い―日本文学を媒体とする場合(植栗彌)
日本社会の現状とキリスト教の死生観(ホアン・マシア)
第三部 聖書と教父時代のインカルチュレーション
「一人のエジプト人がわたしたちを助け出し‥‥」―旧約聖書のインカルチュレーション(佐久間勤)
福音書―文化の中の福音(廣石望)
小さい群れのインカルチュレーション―新約後期文書に見る、変われるものと譲れないもの(小林稔)
キリスト教とギリシア文化の思想的出会い―教父たちのインカルチュレーション(手塚奈々子)
第四部 パネル・ディスカッション―日本の教会に明日を求めて
粕谷甲一/川中なほ子/岡田武夫
サブタイトル: 福音とグローバル世界の出会いの神学
編著: 佐久間 勤
判型: B6判並製
ページ: 528頁
ISBN: 4-8056-6861-X