現代の世相において、信仰者たちの士気=モラルは、いまだ揺るぎないか。
あいまいになりつつあるキリスト者としての行動基準を今一度、グローバル化・紛争・性と生命などのキーワードから見渡し、教導者や神学が提供する倫理的な判断の意味を、ポスト・モダンという時代における思想や文学、霊性と倫理のかかわり、および聖書からとらえ直そうとします。
困難な中で福音の価値を生き抜くための「創造的な回心」への励ましが、新たな視野を開こうとする各寄稿者により意欲的に語られます。
●目次
第I部 苦境から光へ
グローバル世界における教会の役割 輿石 勇(聖公会志木聖母教会司祭)
人間の基本的ニーズと平和 ――北アイルランド紛争の場合―― 小山 英之(上智大学講師)
生命と性について ――いのちへの選択―― ホアン・マシア(元コミリアス大学教授)
第II部 伝統から明日へ
カトリック教会は、現代世界のどこで働くのか 森 一弘(カトリック東京大司教区司教)
カトリック教会が教えを語るとき 増田 祐志(上智大学講師)
カトリック倫理神学の形成とその現代的意味 竹内 修一(上智大学講師)
第III部 展開から実りへ
秘跡と典礼がポスト・モダン社会に果たす役割 具 正謨(上智大学講師)
現代ユダヤ教思想とキリスト教の倫理 ホアン・アイダル(上智大学講師)
文学から見た倫理と霊性 ――太宰治から遠藤周作へ―― 片山 はるひ(上智大学助教授)
現代の恩恵論と倫理 光延 一郎(上智大学助教授)
第IV部 源泉から今へ
イエスにおける「神の王国」の倫理 廣石 望(フェリス女学院大学助教授)
「兄弟を愛さない者は死の中に留まっている」――ヨハネの共同体はなぜ断言できるのか 小林 稔(上智大学神学部教授)
パウロの愛の教えとイエス 太田 修司(上智大学講師)
編著: 光延一郎
判型: B6判並製
ページ: 568
ISBN: 4-8056-3902-4
発行: サンパウロ