そのお医者さんは言った。
「彼女はよく、君の話をしていましたよ。素直なとってもいい子だって、いつもうれしそうに話していました。彼女は君に会うと病気のことも忘れられるって……」
本書は引っ越してきたばかりで孤独な12歳の少年が経験した、かけがえのない一年間の思い出の物語です。
家庭教師のまりあさんを大好きになった少年は、彼女からチェロを習いはじめました。いつかふたりで『アベ・マリア』を弾くことを夢見て。
でも悲しいことがおこりました。つらくて絶望的なものでしたが、それは神さまからの素晴らしい贈り物だったことを教えられたのです。その苦しさに耐えて懸命に生きれば、神さまはますます愛してくださることも。
この本には思春期の入り口にさしかかった少年とまりあさんとの優しい情景が随所にあふれています。きっと読者を温かく包み込むことでしょう。
著者: 安東茂樹
判型: B6判並製
ページ: 280
ISBN: 4-8056-1497-8
発行: サンパウロ