バチカンにおける超国家的学術研究機関である生命アカデミーが、ヒト胚をテーマに開催された2006年の年次大会のおもな内容を編集。
専門的な発生生物学の最新知識を平明に解説した上で、初期胚の人格を否定するさまざまな見解に対し、実体論の立場から明確な人格概念を提示し、道徳的観点からは存在論とはかかわりなく、ただ人が存在しているという単純な事実のみで人格の尊厳を尊重し保護する十分な理由があることを論証しています。巻末には生命アカデミーの客員会員である訳者・秋葉悦子氏(富山大学経済学部経営法学科教授)による、アカデミーの活動内容の紹介も含めた解説を収録いたしました。
生命倫理学の最先端議論に対し明快な回答を提示する本書は、積極的な議論が行われぬままヒト胚研究の積極的な推進が図られている日本において、ぜひとも広く読まれて欲しい一冊。
●目次
まえがき
序論
科学的側面
受精のプロセス
胚の発達軸の設置
母の子宮に着床する前の胚の発達
母と胚の対話および着床の準備
出生前診断と着床前診断
生命倫理学的考察
ヒト胚に関する生命倫理学の論争
倫理学的および法律学的考察
著者:教皇庁生命アカデミー
判型:A5
ページ数:56
ISBN:978-4-87750-141-9
発行:カトリック中央協議会