20世紀におけるヨハネ研究の名著がついに邦訳。ヨハネ共同体は果たしてキリストの教会なのか? 初代教会の神学史を読み解く。
ヨハネの教会はキリストを信奉するユダヤ人の共同体であったが、サマリア人のグループや異邦人改宗者を取り込みながら発展していった。しかしその共同体の内部にはキリスト論に対する意見の対立が生まれ、やがては内部分裂して二派(ヨハネの手紙の著者を支持しエルサレムの教会に同化していくグループと、グノーシス主義に転じていく分離主義者のグループ)に分かれていくことになったのである。(監訳者「あとがき」より)
●目次
はじめに
序 ヨハネの教会論の識別についての問題点と方法
第1段落 ヨハネ福音書成立以前
ヨハネ共同体の起源
起源となったグループとより低いキリスト論
A.ヨハネのキリスト者共同体の起源となったグループに関する論述
B.イエスに愛された弟子の役割
第2のグループの加入とより高いキリスト論
A.ヨハネ共同体における第2のキリスト者にグループについて
B.結果的に生じた「ユダヤ人」との衝突
C.より高いキリスト論
D.ヨハネ神学の必然的帰結
E.初期段階の神学との連続性
異邦人とより重要な万人救済論者としての見解
第2段階 ヨハネ福音書が書かれた時期
ヨハネ共同体と外部者との関係
福音に見られる不信仰者
グループ1 世
グループ2 ユダヤ人
グループ3 洗礼者ヨハネの信奉者
ヨハネ福音書に見出される他のキリスト者
グループ4 隠れキリスト者(会堂にいたユダヤ人キリスト者)
グループ5 不適切な信仰を持ったユダヤ人キリスト者
グループ6 使徒継承の教会のキリスト者
ヨハネ共同体は一つの分派(セクト)であったのか
第3段階 ヨハネの手紙が書かれた時期
ヨハネ共同体の内部抗争
ヨハネの手紙から想像される共同体の生活状況
A.ヨハネの教会
B.ヨハネ学派
C.ヨハネ共同体の内部分裂
論争の領域
A.キリスト論
B.倫理観
C.終末論
D.聖霊論
第4段階 ヨハネの手紙が書かれた後
ヨハネ共同体の崩壊
2世紀における第4福音書の歴史
分離主義者と2世紀の異端
ヨハネの手紙の著者の支持者と大教会
考察
付録
チャート1 ヨハネ共同体の歴史
チャート2 第4福音書に見られる、ヨハネ共同体以外のさまざまな宗教的グループ
付記1 最近のヨハネ共同体の歴史の再構成研究について
付記2 第4福音書における女性の役割
注
訳者あとがき
監訳者あとがき
関連項目別検索
聖書学者別文献索引
著者:レイモンド・E・ブラウン
監訳:湯浅俊治
訳者:田中昇
判型:A5判上製
ページ数:316ページ
ISBN:978-4-902211-32-0
発行:教友社