教会葬儀の全体像を、日本人の死生観を踏まえ、ていねいに解説する。キリストの復活や永遠のいのち、死者との交わりの意味と、通夜・告別式での祈りやシンボルを説明し葬儀社の選定から納骨、遺産相続や墓の問題、遺族のグリーフケアまでを取り扱う。
●目次
死を見つめ、永遠に臨む??序にかえて
第一章 現代の日本人の姿と「いのちの福音」
1 人間の死と「風の霊性」
『千の風になって』が象徴すること/「風の霊性」/『おくりびと』の所作/
全人的な人間観・死生観
2 現代人の根無し草的状況
宗教の衰退/孤独な死 /高齢化の功罪/根無し草の問題の深さ/
3 生きた伝統からの声??死を見つめた文学・思想
手渡しの文化伝承/カミの死別の涙??『古事記』/万葉びとの愛と死/
露のいのちへの哀惜??『源氏物語』/今を生きる仏教の無常観/
日本人の死生観の行方
4 いのちの福音??キリスト教の死生観の特徴
祝福された世界のために/死は自然か/死の不安・恐怖への福音/
日本人にとってのいのちの福音/葬儀と神の国の福音
第二章 典礼としての葬儀
1 葬儀観と葬儀様式の変遷
古代??殉教者の埋葬/中世??死者ミサの成立/
現代??「典礼憲章」/『カトリック儀式書 葬儀』
2 葬儀における祈り
通夜の意義の変化/柩への灌水/献香と焼香の意味/
キリストに結ばれた葬儀/聖体の秘跡/祈願文のテーマ/
奉献文/復活の希望/詩編と食卓の賛美の祈り/告別と葬送
3 葬儀に関連する課題
火葬のキリスト教的理解/新しい葬儀観、新たな試み/埋葬について
第三章 臨終から火葬まで
1 旅立ちの準備
亡くなる前に/死の宣告と「死亡診断書」/死が告げられたとき/
教会への連絡/死装束と死化粧/遺体の変化/「死亡届」の提出/
「死体火葬許可証」/葬儀社選び/交渉と相談/遺体の搬送と安置/
どこまで知らせるか/近親者だけでの葬儀
2 儀式としての葬儀
臨終から納棺までの儀式/棺の種類/心穏やかな通夜/
葬儀ミサの基本的な順序/弔辞/弔電披露/遺族の挨拶/
献花と焼香の実際/葬送と火葬場での祈り/骨あげ/納 骨
3 さまざまな決定のために
献 体/葬儀ミサの場所と時刻/会葬者とともに/香典・供花の辞退/
香典・会葬御礼/葬儀の飾りと値段/教会への献金
第四章 残された者たち
1 大切な人を送るために
「残される人にとっての死」/遺族を支えるために/直葬/予期悲嘆/
家族への思いやりとして/突然亡くなった場合/エンバーミング
2 遺族の現実
相続財産/遺留分/祭祀財産/永代使用権
3 墓をめぐって
墓への意識の多様化/合葬墓・永代供養墓・樹木葬墓地/
手元供養/散骨
4 死者との絆を大切にし、ともに生き続けること
遺族の課題/「一人称の死」/残される側の問題
法事の現代的意味と効用/日常のグリーフワークとして
第五章 いのちの交わりは死を超えて
1 裸の人間が問いかけるもの
日本の心/キリスト教の見方/地上の幕屋と天の住みか/
「裸」の一人の人として/跳躍台としての十字架/永遠のいのちへの確信
2 キリスト教の核心
「信仰宣言」/弟子たちにとっての復活/新たないのちの地平/
パウロが語る復活/「からだの復活」/希望の到達点
3 永遠のいのちの輝き
無限の力である十字架/聖徒の交わり/いのちで結ばれた「ぶどうの木」
葬儀についての身近な疑問
執筆:田畑邦治、南雲正晴、鈴木隆、小谷みどり、吉池好高
編者:オリエンス宗教研究所
判型:B6判並製
ページ数:216ページ
ISBN:978-4-87232-074-9
発行:オリエンス宗教研究所
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